日常やサイトのこと。
05/12
2025
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05/18
2014
拓海は、自分の隣を見た。
そこには自分そっくりの「拓海」がいる。
顔も形も何もかもそっくりで、ただ一つ違うところと言えば自分よりもよっぽど、明るくてにこにこしていて、物おじしなさそうで。穿いているスカートは下着が見えそうなほどギリギリ短いし、胸元が大きく開いたカットソーは胸を大きく強調している。
(……すご……)
本当に自分の「分身」なのかと、拓海は疑う。
一方の「拓海」は、ニコニコして、拓海が出したお茶を飲んでいる。
「まあそういうわけで……うちはこういう家系だってことだ」
目の前の、文太が苦虫を噛み潰したような顔で、絞り出した結論。
その隣には、文太の若い頃、つまり、19歳の「文太」がいる。写真に映っていたのと同じだ。
「家系…」
拓海はその言葉を反芻した。
「そ、家系ね」
「拓海」が頷いた。
「家系か。ま、そういうことだよなあ」
うんうん、と腕組みをして「文太」も同意する。
「家系……」
文太が言った「家系」とは。
藤原の家系は、昔からどういうわけか妙なことに、誰かに強く思われたり、また、身内同士で強く思い合うと、「分身」ができるのだという。
拓海は誰かに思われ、本来の拓海とは全く正反対の「分身」が現れた。
文太もまた同じだという。
ただ、拓海とは違って、若い頃の「文太」だ。
「……そう……」
拓海は俯いた。
(オレがあんなこと思ったから……?)
ちらりと上目づかいで見た、文太の隣の「文太」。文太の煙草を拝借して火をつけている。
(オレ、そんなにオヤジのこと……嘘……)
かあっと、顔が赤くなった。
文太は目の前にいる二人の娘に、ため息をついた。自分の煙草の最後の一本を分身の「文太」が拝借したのも気にならぬほどに。
(まいったな……まさか拓海が二人になっちまうとは……そんなことにならねえように木をつけていたつもりだったんだけどよ……オレは、拓海を……)
「なあ、オレ、腹減った!」
「はあ?」
突如、「文太」が声を上げた。
「あ、オレもッ」
続いて「拓海」も手を上げた。
「な、メシ作ってくれよ」
続くよっ。
そこには自分そっくりの「拓海」がいる。
顔も形も何もかもそっくりで、ただ一つ違うところと言えば自分よりもよっぽど、明るくてにこにこしていて、物おじしなさそうで。穿いているスカートは下着が見えそうなほどギリギリ短いし、胸元が大きく開いたカットソーは胸を大きく強調している。
(……すご……)
本当に自分の「分身」なのかと、拓海は疑う。
一方の「拓海」は、ニコニコして、拓海が出したお茶を飲んでいる。
「まあそういうわけで……うちはこういう家系だってことだ」
目の前の、文太が苦虫を噛み潰したような顔で、絞り出した結論。
その隣には、文太の若い頃、つまり、19歳の「文太」がいる。写真に映っていたのと同じだ。
「家系…」
拓海はその言葉を反芻した。
「そ、家系ね」
「拓海」が頷いた。
「家系か。ま、そういうことだよなあ」
うんうん、と腕組みをして「文太」も同意する。
「家系……」
文太が言った「家系」とは。
藤原の家系は、昔からどういうわけか妙なことに、誰かに強く思われたり、また、身内同士で強く思い合うと、「分身」ができるのだという。
拓海は誰かに思われ、本来の拓海とは全く正反対の「分身」が現れた。
文太もまた同じだという。
ただ、拓海とは違って、若い頃の「文太」だ。
「……そう……」
拓海は俯いた。
(オレがあんなこと思ったから……?)
ちらりと上目づかいで見た、文太の隣の「文太」。文太の煙草を拝借して火をつけている。
(オレ、そんなにオヤジのこと……嘘……)
かあっと、顔が赤くなった。
文太は目の前にいる二人の娘に、ため息をついた。自分の煙草の最後の一本を分身の「文太」が拝借したのも気にならぬほどに。
(まいったな……まさか拓海が二人になっちまうとは……そんなことにならねえように木をつけていたつもりだったんだけどよ……オレは、拓海を……)
「なあ、オレ、腹減った!」
「はあ?」
突如、「文太」が声を上げた。
「あ、オレもッ」
続いて「拓海」も手を上げた。
「な、メシ作ってくれよ」
続くよっ。
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